「建設業許可を取りたいけれど、資格を持っている人がいない」
「長年現場で働いてきたけど、実務経験で許可は取れるのか」
「前職での経験を使って申請できるのか」
建設業許可のご相談では、このような不安を持たれている方が少なくありません。
建設業許可を取得するためには、営業所ごとに営業所技術者等を置く必要があります。
以前は「専任技術者」と呼ばれていた要件で、建設業許可を取るうえで非常に重要なポイントです。
営業所技術者等というと、
「国家資格がないと無理なのでは?」
「施工管理技士や建築士がいないと許可は取れないのでは?」
と思われるかもしれません。
しかし、一般建設業許可の場合、資格がなくても、
一定の実務経験によって営業所技術者等の要件を満たせる可能性があります。
この記事では、資格がない場合でも建設業許可を取れる可能性があるのか、
実務経験で営業所技術者等になる場合の注意点をわかりやすく解説します。
建設業許可は資格がないと取れない?
結論からいうと、資格がなくても建設業許可を取れる可能性はあります。
ただし、誰でも取れるわけではありません。
建設業許可では、許可を受けようとする業種について、
一定の資格や実務経験を持つ人を営業所技術者等として置く必要があります。
一般建設業許可の場合、国土交通省の案内では、営業所技術者等の要件として、
指定学科卒業後の実務経験、10年以上の実務経験、国家資格等が挙げられています。
つまり、国家資格がない場合でも、許可を取りたい業種について十分な実務経験があり、
それを証明できれば、建設業許可を取得できる可能性があるということです。
建設業許可の要件全体については、こちらでもご案内しています。
営業所技術者等とは?
営業所技術者等とは、建設業許可を受ける営業所に置く必要がある技術者のことです。
建設業許可では、単に会社として経験があるだけでなく、
営業所に一定の技術的な知識・経験を持つ人がいるかどうかが確認されます。
営業所技術者等は、許可を取りたい業種に対応した資格や実務経験を持っている必要があります。
たとえば、内装仕上工事業で許可を取りたい場合は、内装仕上工事に関する資格や実務経験が必要になります。
「建設業の経験がある」というだけではなく、どの業種の経験なのかが重要です。
資格がない場合は「実務経験」で検討する
資格がない場合でも、実務経験によって営業所技術者等の要件を満たせる可能性があります。
主な考え方は次のとおりです。
10年以上の実務経験がある場合
資格や指定学科の卒業がない場合でも、許可を受けようとする建設業に係る建設工事について、
10年以上の実務経験があれば、営業所技術者等として認められる可能性があります。
たとえば、内装仕上工事業で許可を取りたい場合は、内装仕上工事に関する実務経験を確認します。
この場合、単に「現場経験が10年以上ある」というだけでは足りません。
許可を取りたい業種に対応した工事を、どの期間、どのような立場で経験してきたのかを確認する必要があります。
指定学科を卒業している場合
指定学科を卒業している場合は、必要な実務経験年数が短くなることがあります。
国土交通省の案内では、許可を受けようとする建設業に係る建設工事について、
指定学科を修めて高校を卒業した場合は卒業後5年以上、
大学を卒業した場合は卒業後3年以上の実務経験が要件として示されています。
たとえば、建築系や土木系、電気系など、許可業種に対応する学科を卒業している場合は、
10年より短い実務経験で認められる可能性があります。
ただし、卒業した学科が指定学科に当たるか、許可を取りたい業種に対応しているかは、個別に確認が必要です。
国家資格がある場合
施工管理技士、建築士、電気工事士など、許可業種に対応する国家資格がある場合は、
実務経験よりもスムーズに要件を確認できることがあります。
ただし、資格があればどの業種でも許可が取れるわけではありません。
資格ごとに対応する建設業の種類が決まっているため、
許可を取りたい業種と資格が合っているかを確認する必要があります。
実務経験で申請する場合に難しいポイント
実務経験で営業所技術者等の要件を満たそうとする場合、難しいのは「経験があるかどうか」だけではありません。
実務上、特に大切なのは、その経験を資料で証明できるかです。
ご本人としては、
「10年以上この仕事をしてきた」
「昔から現場に出ている」
「ずっと内装工事をやってきた」
という感覚があると思います。
しかし、建設業許可の申請では、その経験を客観的な資料で確認する必要があります。
愛知県の建設業許可申請様式にも、営業所技術者等証明書や実務経験証明書の様式が用意されています。
そのため、実務経験で申請する場合は、経験年数だけでなく、証明資料をどれだけ準備できるかが重要になります。
実務経験の証明で確認されやすい資料
実務経験を証明するために、状況に応じて次のような資料を確認することがあります。
- 工事請負契約書
- 注文書
- 請書
- 請求書
- 入金記録
- 確定申告書
- 決算書
- 工事経歴がわかる資料
- 前職の会社による実務経験証明書
- 在籍期間を確認できる資料
- 常勤性を確認できる資料
どの資料が必要になるかは、申請する業種、経験を積んだ立場、
過去の勤務先、個人事業主か法人かによって変わります。
また、愛知県の記載例では、営業所技術者等について常勤性の確認書類が必要とされており、
健康保険・厚生年金関係の書類、住民税特別徴収税額決定通知書、
所得証明書と源泉徴収票などが例示されています。
つまり、実務経験だけでなく、その人が営業所に常勤しているかも確認されるということです。
前職での経験は使える?
前職での経験を使って、営業所技術者等の実務経験を証明できる可能性はあります。
たとえば、以前勤めていた建設会社で、許可を取りたい業種に関する工事に継続して従事していた場合、
その経験を使える可能性があります。
ただし、前職の経験を使う場合は、当時の勤務先から実務経験証明をもらう必要があるケースがあります。
ここで問題になりやすいのが、
- 前職の会社に証明を頼みにくい
- 退職してから時間が経っている
- 当時の会社が廃業している
- 工事内容を示す資料が残っていない
- 在籍期間は証明できるが、どの工事をしていたか証明しにくい
といったケースです。
前職での経験を使う場合は、早めに証明資料の有無を確認しておくことが大切です。
個人事業主・一人親方の経験は使える?
個人事業主や一人親方としての経験も、営業所技術者等の実務経験として検討できる可能性があります。
ただし、この場合は、自分自身で経験を説明するだけでは不十分です。
請負契約書、請求書、確定申告書、入金記録など、
実際に工事を請け負っていたことがわかる資料が重要になります。
特に一人親方の場合、
「ずっと現場に入っていたが、契約書がない」
「請求書は一部しか残っていない」
「人工出しのような形で働いていた」
「どの業種の経験として見られるかわからない」
というケースもあります。
このような場合は、どの資料でどこまで証明できるかを整理する必要があります。
個人事業主・一人親方の建設業許可については、こちらのページも参考にしてください。
「建設業の経験10年」だけでは足りないことがある
実務経験でよくある誤解が、建設業界に10年以上いればよいというものです。
しかし、建設業許可では、許可を取りたい業種に対応した実務経験かどうかが重要です。
たとえば、
- 内装工事の経験で電気工事業の許可を取れるとは限らない
- とび・土工工事の経験で解体工事業を取れるとは限らない
- 建築一式工事と専門工事は区別して考える必要がある
- 現場作業ではなく営業や事務だけの経験では足りないことがある
という点に注意が必要です。
「現場経験は長いから大丈夫」と思っていても、
許可を取りたい業種と経験内容が合っていない場合、要件を満たせない可能性があります。
そのため、実務経験で申請する場合は、まずどの業種で許可を取るのかを整理することが大切です。
実務経験で申請する場合の注意点
実務経験で営業所技術者等になる場合は、次の点に注意しましょう。
1. 許可を取りたい業種を先に確認する
まずは、自社がどの業種の許可を取るべきかを確認しましょう。
建設業許可には、土木一式工事、建築一式工事のほか、大工工事、左官工事、
とび・土工工事、電気工事、管工事、内装仕上工事、解体工事など、複数の業種があります。
実際の工事内容と許可業種がずれていると、
せっかく申請しても目的に合わない許可になってしまう可能性があります。
2. 経験年数を整理する
いつからいつまで、どの業種の工事に従事していたのかを整理します。
過去の勤務先ごと、個人事業主の期間ごと、法人化後の期間ごとに分けて整理するとわかりやすくなります。
3. 証明資料が残っているか確認する
実務経験は、資料で証明できるかが大切です。
古い契約書や請求書が残っていない場合もあるため、早めに資料を確認しましょう。
4. 常勤性を確認する
営業所技術者等は、原則として営業所に常勤している必要があります。
他社に常勤している人、名義だけ借りるような形の人は、営業所技術者等として認められない可能性があります。
5. 経営業務の管理責任者等の要件も確認する
営業所技術者等の要件を満たしていても、それだけで建設業許可が取れるわけではありません。
建設業許可では、経営業務の管理責任者等、財産的基礎、社会保険、営業所、欠格要件など、
ほかの要件も確認されます。
財産的基礎について不安がある方は、こちらの記事もご確認ください。
▶ 赤字決算でも建設業許可は取れる?財産的基礎・500万円の考え方をわかりやすく解説
資格取得を検討した方がよいケースもある
資格がなくても実務経験で申請できる可能性はあります。
しかし、長期的に見ると、資格取得を検討した方がよいケースもあります。
たとえば、
- 今後、業種追加を考えている
- 公共工事を検討している
- 経営事項審査を受けたい
- 元請から技術者体制を求められている
- 若い従業員を育てたい
- 実務経験の証明資料を集めるのが難しい
このような場合は、資格者がいることで今後の手続きや営業面で有利になることがあります。
もちろん、今すぐ許可が必要な場合は、まず実務経験で申請できるかを確認することが大切です。
ただ、今後の事業展開を考えるなら、資格取得もあわせて検討しておくとよいでしょう。
まとめ:資格がなくても、実務経験で建設業許可を取れる可能性があります
資格がないからといって、建設業許可をすぐに諦める必要はありません。
一般建設業許可の場合、許可を取りたい業種について一定の実務経験があれば、
営業所技術者等の要件を満たせる可能性があります。
特に重要なのは、次のポイントです。
- 許可を取りたい業種に対応した実務経験か
- 必要な経験年数を満たしているか
- 実務経験を証明する資料があるか
- 営業所に常勤している人か
- 経営業務の管理責任者等など、他の要件も満たしているか
建設業許可は、ひとつの要件だけで判断するものではありません。
資格がない場合でも、実務経験や過去の資料を確認することで、申請できる可能性が見えてくることがあります。
建設業許可でお困りの方へ
行政書士中村拓哉事務所では、愛知県を中心に建設業許可申請のサポートを行っています。
「資格を持っている人がいないけど建設業許可を取りたい」
「実務経験で営業所技術者等になれるか確認したい」
「前職の経験を使えるか知りたい」
「一人親方としての経験で申請できるか相談したい」
「どの業種で許可を取ればよいかわからない」
このような場合は、まずは現在の状況をお聞かせください。
実務経験の年数、工事内容、証明資料、営業所技術者等の候補者、
経営業務の管理責任者等の要件などを確認し、建設業許可を取得できる可能性があるか整理いたします。
まだ正式に依頼するか決まっていない段階でも大丈夫です。
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