CCUS(Construction Career Up System、建設キャリアアップシステム)とは、建設業界の労働者の能力やキャリアを適切に評価し、記録・活用するためのデジタルプラットフォームです。
国土交通省の指導のもとに導入され、日本国内での建設業界全体の生産性向上や働き方改革を目指しています。
目次
CCUSの目的
- 技能者のキャリア形成支援
- 技能者の資格や経験を正確に記録し、キャリアアップの道筋を明確化します。
- 適正な評価と待遇改善
- 技能や経験を可視化することで、技能者の待遇改善やモチベーション向上を図ります。
- 建設業界全体の生産性向上
- デジタル技術を活用し、労務管理や現場運営の効率化を支援します。
- 業界の魅力向上
- キャリアパスの明確化と技能者の地位向上により、若年層の参入促進を図ります。
CCUSの仕組み
1. データ登録
- 技能者や事業者がそれぞれシステムに登録します。
- 技能者が保有する資格、技能講習の修了歴、現場での経験などの情報を一元管理します。
2. 登録カードの利用
- 技能者にはICカードが発行され、これを現場の端末やスマートフォンで読み取ることで、働いた時間や現場の記録を残すことができます。
3. 情報の蓄積と活用
- システムに蓄積されたデータは、以下のような形で活用されます。
- 技能者:自身のキャリアアップや転職時のスキル証明
- 事業者:現場の労務管理、技能者の適正な評価
- 発注者:技能者のスキル確認や工事の品質向上
CCUSの主な機能
1. 技能者情報の記録
以下のような情報が記録されます。
- 技能者の資格(国家資格や技能検定など)
- 施工実績や現場での作業記録
- 技能講習や特別教育の受講履歴
2. 労務管理の効率化
安全衛生管理の支援(技能講習未受講者の確認など)や、現場での就労時間や出勤日数をデジタルで管理します。
3. キャリアパスの提示
登録データをもとに、技能者が目指すべきキャリアパスを提示し、スキルアップや資格取得の計画を立てやすくします。
導入のメリット
技能者にとってのメリット
- キャリアの見える化
- 自身の技能や経験が正確に評価されます。
- 待遇の改善
- 資格や経験に基づいた適切な報酬や評価を受けやすくなります。
- 転職・就職の際のアピール材料
- システムに登録されたデータがスキルの証明として活用できます。
事業者にとってのメリット
- 労務管理の効率化
- 現場での就労時間管理や資格確認が容易になります。
- 人材の確保・活用
- 技能者の能力を把握し、適材適所の配置が可能になります。
- 企業イメージの向上
- 技能者を大切にし、キャリア形成を支援する企業としての信頼性が向上します。
発注者にとってのメリット
- 施工品質の向上
- 現場で働く技能者のスキルを確認でき、適切な技能者が配置されます。
- 透明性の確保
- 労働環境や作業実績が記録されることで、適正な工事管理が可能になります。
CCUSの課題
- 登録率の向上
- 中小規模の事業者や技能者個人が登録をためらうケースがあります。
- コストやシステムの理解不足が障壁となることもあります。
- 現場での利用促進
- 現場端末やICカードリーダーの導入が進んでいない場合があります。
- データの一貫性と活用
- 各事業者間でのデータ連携が不十分な場合、十分に活用されない可能性があります。
まとめ
CCUSは、建設業界における働き方改革の重要なツールであり、技能者、事業者、発注者の全てにメリットをもたらします。
一方で、普及や運用面での課題も残されています。
これからの建設業界では、CCUSを活用して技能者のキャリア形成を支援し、業界全体の競争力向上を図ることが期待されています。
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