技能実習生とは、技能や知識を学ぶために日本に来て、一定期間実務を通じて技能を習得する外国人を指します。
技能実習生制度は、日本の技術や技能を途上国に移転し、国際貢献を目的として運用されていますが、近年では建設業界の人手不足を補う役割も担っています。
目次
技能実習生制度の概要
目的
- 日本の技能や技術を習得し、母国の発展に貢献すること。
- 建設業では、技能や技術を実務を通じて習得することが期待されます。
特徴
- 技能実習生は研修生ではなく、労働者として受け入れられ、労働基準法などの法律が適用されます。
- 原則として、実習終了後は母国に帰国し、習得した技能を活用することが求められます。
建設業における技能実習の受け入れ要件
1. 受け入れ可能な分野・職種
建設業で技能実習生を受け入れる場合、以下の職種と作業が対象となります。
- 職種例:型枠施工、鉄筋施工、左官、建築板金、配管、内装仕上げなど
- 作業例:建設機械操作、塗装、防水施工、建設機械整備など
2. 建設業特有の要件
建設業では、特定監理団体が技能実習生の受け入れを支援し、適正な管理を行います。
この団体を通じて技能実習計画が認められる必要があります。
技能実習の流れ
技能実習は、3段階(1号、2号、3号)で構成されており、それぞれの段階で実習内容や滞在期間が異なります。
1. 技能実習1号(1年目)
- 目的:基礎的な知識や技能を学ぶ。
- 滞在期間:最長1年
- 内容:座学と実務の両方を含む。
2. 技能実習2号(2~3年目)
- 目的:1号で学んだ技能をさらに実践的に活用。
- 滞在期間:最長2年
- 内容:高度な技能習得。
3. 技能実習3号(4~5年目)
- 目的:指導者的立場での実践的技能の取得。
- 滞在期間:最長2年
- 内容:現場での指導的な役割を担う。
技能実習生を受け入れる企業の要件
1. 建設業許可の取得
受け入れ企業は、適切な建設業許可を取得している必要があります。
2. 建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録
技能実習生もCCUSに登録することで、技能や経験を可視化します。
3. 適正な労働環境の整備
- 労働基準法に準拠した給与や労働時間の保証。
- 技能実習生専用の就業規則を整備。
4. 技能実習計画の作成
技能実習計画を作成し、外国人技能実習機構(OTIT)の認定を受ける必要があります。
受け入れのメリット
企業側のメリット
- 労働力の確保
建設現場の人手不足を補うことが可能。 - 技能の伝承
実務を通じて日本の技術を教えることで、建設業の発展に寄与。 - 長期的な雇用
技能実習2号修了者は、特定技能1号に移行することが可能で、長期雇用に繋がります。
技能実習生側のメリット
- 技能や技術の習得
高度な建設技能を学び、母国でのキャリアに活用できます。 - 収入の確保
日本で働くことで、母国の生活基準を上回る収入が得られます。
課題と注意点
1. 労働環境の適正化
- 労働基準法を遵守し、不当な扱いや低賃金を防ぐ必要があります。
- 技能実習生の職場環境を適正に保つことが重要。
2. 日本語教育の不足
- 技能実習生は日常会話以上の日本語能力が求められることが多いですが、企業側でのサポートが不十分な場合もあります。
3. 帰国後の支援
- 実習終了後に母国での就職支援が不足しているケースが課題となっています。
4. 特定技能制度との競合
- 技能実習制度と特定技能制度が重なる部分があり、企業側で適切な活用方法を検討する必要があります。
技能実習生制度と特定技能制度の違い
項目 | 技能実習生 | 特定技能 |
---|---|---|
目的 | 技能の習得と母国への技術移転 | 日本国内の労働力不足解消 |
滞在期間 | 最長5年 | 1号:最長5年 2号:無期限 |
試験 | 実習終了後に試験を実施 | 技能試験・日本語試験が必要 |
家族帯同 | 認められない | 1号:不可 2号:可能 |
対象業務 | 決められた職種・作業 | 土木区分、建築区分、ライフライン・設備区分 |
行政書士が提供できるサポート
- 在留資格の申請支援
- 技能実習生の在留資格申請や更新手続きを代行。
- 技能実習計画の作成支援
- 実習計画の作成や必要書類の整備をサポート。
- 労働契約書の確認・作成
- 適正な労働条件が整備されているかを確認。
- 外国人技能実習機構(OTIT)への対応
- 必要な報告書の提出やトラブル時の助言。
- 特定技能への移行支援
- 技能実習生から特定技能へのスムーズな移行を支援。
技能実習制度は、適正に運用すれば建設業界の発展に大きく寄与します。
行政書士の専門知識を活用することで、企業と技能実習生の双方にとって有益な制度活用が可能になります。
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