建設業許可における一式工事と専門工事の違いは、工事の内容や役割の範囲に基づきます。
それぞれの特徴を以下にまとめます。
目次
一式工事とは
定義
一式工事は、建築物または土木工作物の新築・改修・増築工事を総合的に企画、指導、調整して施工する工事を指します。
主な特徴
- 複数の工事をまとめて請け負う
- 複数の専門工事を統括して計画・管理する役割を担います。
- 例:建物の新築工事で、基礎工事、木工工事、電気工事などを総合的に取りまとめます。
- 工事の総合的な管理が必要
- 一式工事では、施工全体を管理・調整する能力が求められます。
- 対象工事の規模
- 建築一式工事では、請負金額が1,500万円以上または延べ面積150㎡以上の木造住宅工事の場合に該当するケースが多いです。
- 業種の種類
- 一式工事は以下の2種類に分類されます。
- 建築一式工事(例:ビルや住宅の建築工事)
- 土木一式工事(例:道路、橋梁、トンネルなどの工事)
- 一式工事は以下の2種類に分類されます。
専門工事とは
定義
専門工事は、特定の技術や知識を必要とする特化した工事を指します。
建設業許可では、27業種に分かれています。
主な特徴
- 特定分野の施工を担当
- 1つの工事分野に特化して施工を行います。
- 例:電気工事、管工事、塗装工事、防水工事など。
- 分業体制の一部を担う
- 一式工事の中の一部分(例えば電気配線の設置)を担当する場合が多いです。
- 業種ごとに専門知識が求められる
- 各専門工事には、それぞれ専任技術者や資格が必要です。
- 許可業種の種類
- 専門工事は以下のように分類されます。
- 大工工事業
- 電気工事業
- 管工事業
- 塗装工事業
- 解体工事業など(計27業種)
- 専門工事は以下のように分類されます。
一式工事と専門工事の主な違い
項目 | 一式工事 | 専門工事 |
---|---|---|
内容 | 総合的な管理や調整を行い、複数の工事を統括する | 特定分野に特化した個別の工事を担当 |
業種の数 | 2種類(建築一式工事、土木一式工事) | 27種類(電気工事、管工事、防水工事など) |
役割 | 計画、調整、管理を含む | 特定分野での施工 |
資格要件 | 施工管理全体を担当できる経験や技術 | 各分野ごとの技術や資格が必要 |
規模感 | 大規模または総合的なプロジェクト | 特定分野の小規模から中規模の工事 |
例 | ビルや住宅の新築、橋梁や道路の建設 | 内装仕上げ、電気設備設置、防水処理など |
具体例
一式工事の例
- 建築一式工事
マンションを建設する際、基礎工事、電気設備工事、内装工事を含む全体を取りまとめます。 - 土木一式工事
ダム建設工事で、掘削、コンクリート打設、設備設置など全体を統括します。
専門工事の例
- 電気工事業
ビル内の電気配線や照明設備を設置します。 - 塗装工事業
建物の外壁や内壁を塗装します。 - 防水工事業
屋根やバルコニーに防水処理を施します。
注意点
- 一式工事と専門工事の兼業
- 一式工事業者は、自社で専門工事も行うことが可能です。ただし、他の専門工事業者を下請けに出すことが一般的です。
- 許可取得時の判断
- 「一式工事」と「専門工事」のどちらに該当するかは、工事内容や請負範囲によって判断されます。建築物全体を取りまとめている場合は「一式工事」に該当します。
- 建設業許可申請時の業種選択
- 一式工事と専門工事を同時に申請することも可能ですが、専任技術者や実績が必要になるため、計画的に準備を進める必要があります。
まとめ
- 一式工事は総合的な計画と管理を行い、全体を統括する役割を担います。
- 専門工事は特定の分野に特化して施工を行う工事です。
どちらも建設業において重要な役割を担い、それぞれの許可要件や役割に応じて適切に申請・施工を行うことが求められます。
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