【建設業】解体工事業とは?

解体工事業は、建設業の許可が必要な29業種のひとつで、建物や構造物を安全かつ適切に解体・撤去する業種です。

建築物の老朽化対策や都市再開発、土地の再利用に伴う需要が高まっており、専門的な技術と法令遵守が求められる分野です。

以下に解体工事業について詳しく説明します。

目次

解体工事業の定義

解体工事業は、次のように定義されています。

建設物を取り壊す工事、または付随する設備・構造物を撤去する工事を専門的に行う業種。

2016年(平成28年)の建設業法改正により、解体工事業はそれまで他の業種(とび・土工工事業や建築工事業など)に含まれていたものが独立し、専用の業種区分として位置づけられました。

主な工事内容

解体工事業で取り扱う工事は以下のようなものです。

1. 建築物の解体工事

  • 一般住宅やマンション、ビルなどの建物を解体。
  • 木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造(RC造)など、構造形式ごとに適切な解体方法を選択。

2. 構造物の撤去工事

  • 高架橋、煙突、タンク、プラント設備などの大規模な構造物を解体。

3. 内装解体工事

  • 建物のリフォームや改修に伴い、壁や床、天井などの内装部分を撤去。

4. アスベスト除去工事

  • 建築物解体に伴う有害物質(アスベストなど)の除去と適正処理。

5. 附属設備や基礎構造の撤去

  • 建物の基礎部分や配管、電気設備、機械設備の解体・撤去。

6. 解体後の廃材処理

  • 廃棄物の分別・リサイクル・適切な処分。
  • 木材、コンクリート、金属などを再利用可能な資源としてリサイクル。

解体工事業の重要性

解体工事業は、建築物の安全な撤去と環境保護の観点から重要です。

  • 安全性の確保
    解体時における周囲への影響を最小限に抑えるため、綿密な計画と適切な施工が求められます。
  • 環境保全
    建築廃材のリサイクルや有害物質の適切な処理により、環境負荷を軽減します。
  • 土地の有効活用
    古い建物を解体し、新しい建築物やインフラを整備するための第一段階を担います。

解体工事業の許可が必要な場合

1件あたりの工事金額が500万円(税込)以上の解体工事を行う場合、許可の取得が必要になります。

ただし、ただし、規模に関わらず、解体工事を行う際は廃棄物処理法や建築リサイクル法など関連法令を遵守する必要があります。

許可は5年ごとに更新が必要で、定期的な監査や指導が行われる場合があります。

解体工事業の許可を取得する要件

解体工事業の許可を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。

経営業務の管理責任者

経営者や役員の中に、過去5年以上の解体工事業の経営経験や、管理経験がある者が必要です。

専任技術者

専任技術者とは、事務所ごとに設置される技術担当者であり、資格と経験が求められます。

解体工事業では、1級または2級建設機械施工技士解体工事施工技士などの国家資格、あるいは一定の実務経験が求められます。

財産的基礎または金銭的信用

一定の資産や資金の調達力を持つことが求められます。

具体的には500万円以上の自己資本があることや、金融機関の融資枠などです。

欠格要件の確認

許可を申請する事業者や役員に、法律違反による一定の欠格要件がないことも必要です。

これは、過去の法的なトラブルや行政の処分歴がないことなどを確認するための要件です。

許可取得の流れ

申請書類の準備

必要な書類や証明書類を準備します。

申請先の確認

都道府県知事許可または国土交通大臣許可(ふたつ以上の都道府県で工事を行う場合)が必要です。

申請と審査

書類審査が行われ、条件を満たしているか確認されます。

許可証の交付

審査が通過すると、許可証が交付されます。

関連法令と遵守事項

解体工事業者は、以下の法令を遵守しなければなりません。

  • 建設リサイクル法
    建設廃材の分別解体とリサイクルの義務付け。
  • 廃棄物処理法
    廃棄物の適正処理と管理。
  • アスベスト障害予防規則
    アスベスト含有建材の適正な除去・処理。
  • 騒音規制法・振動規制法
    工事現場の騒音や振動の規制。

まとめ

解体工事業は、建物や構造物の撤去を通じて新たな建築や土地活用を可能にする重要な業種です。

安全対策や環境保護への配慮が求められる一方、再開発需要の高まりに伴い需要が拡大しています。

法令遵守を徹底し、高度な技術と安全性を兼ね備えた施工が求められます。

記事が役に立ちましたら共有いただけますと幸いです。
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次