電気工事業とは、建設業の許可が必要な29業種のひとつで、建物や設備に関わる電気の配線、配電、機械設置、メンテナンスなど、電気に関わる様々な工事や作業を行う業種です。
電気工事業の主な作業
配線工事
新築・改修工事において、建物内部や外部に電気配線を通し、必要な場所に電源を供給するための工事です。
一般住宅やオフィスビル、工場、商業施設など、多様な建物で行われます。
電力供給設備工事
変電設備・配電盤・分電盤の設置やメンテナンス、更新工事を行います。
工場や商業施設などで大量の電力を使用するため、こうした設備の設置が必要です。
設備工事
建物内外の照明器具の設置や配線を行う工事で、屋根の照明や看板、駐車場などの屋外照明設備が含まれます。
最近では省エネ対応として、LED照明への交換も多く行われています。
通信設備工事
電話、インターネット、監視カメラ、インターホンなどの通信設備を建物内に配線し、接続する工事です。
特にオフィスや商業施設では、効率的な通信ネットワーク構築が求められます。
防災設備工事
火災報知器や消火設備、非常灯など、建物の防災設備の配線および設置工事を行います。
高層ビルや病院、商業施設など多くの人が利用する建物では安全のために防災設備が必須です。
電気工事業の必要な資格と法的要件
電気工事業を行うには、一般的に電気工事士資格が必要であり、事業者としては電気工事登録を受ける必要があります。
また、高圧電気設備や特殊な工事に関しては、さらに高度な資格や免許(電気主任技術者資格など)が必要となる場合があります。
電気工事業の許可が必要な場合
1件あたりの工事金額が500万円(税込)以上の電気工事を行う場合、許可の取得が必要になります。
ただし、工事金額が500万円未満の場合は許可を取得しなくても電気工事を行うことができますが、一定の資格を持った技術者が必要です。
許可は5年ごとに更新が必要で、定期的な監査や指導が行われる場合があります。
電気工事業の許可を取得する要件
電気工事業の許可を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。
経営業務の管理責任者
経営者や役員の中に、過去5年以上の電気工事業の経営経験や、管理経験がある者が必要です。
専任技術者
専任技術者とは、事務所ごとに設置される技術担当者であり、資格と経験が求められます。
電気工事業では、第二種電気工事士以上の資格が必要です。
また、高圧工事には、第一種電気工事士が必要となります。
財産的基礎または金銭的信用
一定の資産や資金の調達力を持つことが求められます。
具体的には500万円以上の自己資本があることや、金融機関の融資枠などです。
欠格要件の確認
許可を申請する事業者や役員に、法律違反による一定の欠格要件がないことも必要です。
これは、過去の法的なトラブルや行政の処分歴がないことなどを確認するための要件です。
電気工事業法による「電気工事業登録」との違い
建設業許可とは別に、電気工事業を行う事業者は電気工事業法に基づく電気工事業登録を取得する必要があります。
これは、建設業許可が工事の規模に応じたものなのに対し、電気工事登録は事業者が電気工事の技術基準を満たしていることを確認するものです。
一般用電気工作物(住宅など)を扱う場合
一般電気工事業登録が必要です。
自家用電気工作物(高圧電力を使う工場やビルなど)を扱う場合
特定電気工事業登録が必要です。
許可取得の流れ
申請書類の準備
必要な書類や証明書類を準備します。
申請先の確認
都道府県知事許可または国土交通大臣許可(ふたつ以上の都道府県で工事を行う場合)が必要です。
申請と審査
書類審査が行われ、条件を満たしているか確認されます。
許可証の交付
審査が通過すると、許可証が交付されます。
電気工事業の許可は、建設業における安全性と信頼性の向上を図るために重要な制度です。
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