造園工事業とは、建設業の許可が必要な29業種のひとつで、庭園や公園、街路樹などの緑地空間を設計、施工、管理する業種です。
この業種は、自然環境と調和した空間を作り出すために、植栽、土壌作り、景観設計、照明や水のシステムの設置などを行います。
都市の緑地や住宅地の庭園、公共施設の緑化など、さまざまな場所で重要な役割を果たしています。
以下に、造園工事業の定義、主な工事内容、許可取得の要件などについて詳しく説明します。
造園工事業の定義
建設業法における造園工事業は、公園、庭園、緑地、街路樹、屋上庭園などの植栽や景観整備、土壌改良、灌漑設備の設置などを行う工事を指します。
この分野では、環境デザインや美的要素、さらに植物の成長に関する専門知識が求められます。
主な工事内容
造園工事業には以下のような多岐にわたる作業が含まれます。
1. 設計・プランニング
- 庭園設計:個人住宅や公共施設の庭園、緑地公園、商業施設の庭園など、使用目的や周辺環境に応じたデザインを行います。
- 公園・景観設計:広範囲な公園や街路、広場、遊歩道などの造園デザインを行います。樹木や植栽を含む景観全体を設計します。
2. 植栽工事
- 樹木の植栽:庭園や公園、街路樹などに使用する樹木、低木、草花などを選定し、適切に植栽します。
- 花壇の設置:季節ごとの花を植える花壇の設置や、草花の選定と植栽。
3. 土壌改良
- 土壌の性質を改善するために、肥料の施肥や土壌改良材の追加を行います。植物が育ちやすい環境を作り出すための重要な作業です。
4. 灌漑設備の設置
- 自動灌漑システム:庭園や公園の維持のために、効率的に水を供給する灌漑システムを設置します。特に大型の公園や広場では必要不可欠です。
5. 照明設備の設置
- 庭園や公園、街路樹などの景観を夜間でも美しく見せるために、照明設備を設置することがあります。
6. 環境に配慮した施工
- エコロジカルデザイン:環境に配慮した植栽や水の使用方法、土壌管理が求められるケースが増えています。例えば、雨水利用や省エネルギー照明、バードバス(鳥の水浴び場)の設置などが含まれます。
7. 樹木の剪定・管理
- 植栽後の樹木の成長を管理し、美しい形を保つための剪定や定期的な管理作業を行います。特に街路樹などでは、通行の妨げにならないように定期的に管理します。
8. 土木工事(基盤工事)
- 植栽をするための土地を整えるために、土木工事(地盤の整地、排水設備の設置など)を行うことがあります。
造園工事業の許可が必要な理由
造園工事は、自然環境との調和を保ちながら、安全で美しい空間を作り出すため、専門的な技術と知識が必要です。
建設業法では、一定規模以上の造園工事には許可が必要となっており、適切な技術者と管理体制が求められます。
造園工事業の許可が必要な場合
1件あたりの工事金額が500万円(税込)以上の造園工事を行う場合、許可の取得が必要になります。
ただし、工事金額が500万円未満の場合は許可を取得しなくても造園工事を行うことができますが、必要な技術者や一定の施工基準を満たす必要があります。
許可は5年ごとに更新が必要で、定期的な監査や指導が行われる場合があります。
造園工事業の許可を取得する要件
造園工事業の許可を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。
経営業務の管理責任者
経営者や役員の中に、過去5年以上の造園工事業の経営経験や、管理経験がある者が必要です。
専任技術者
専任技術者とは、事務所ごとに設置される技術担当者であり、資格と経験が求められます。
造園工事業では、造園施工管理技士(1級または2級)、造園技能士などの国家資格、あるいは一定の実務経験が求められます。
財産的基礎または金銭的信用
一定の資産や資金の調達力を持つことが求められます。
具体的には500万円以上の自己資本があることや、金融機関の融資枠などです。
欠格要件の確認
許可を申請する事業者や役員に、法律違反による一定の欠格要件がないことも必要です。
これは、過去の法的なトラブルや行政の処分歴がないことなどを確認するための要件です。
許可取得の流れ
申請書類の準備
必要な書類や証明書類を準備します。
申請先の確認
都道府県知事許可または国土交通大臣許可(ふたつ以上の都道府県で工事を行う場合)が必要です。
申請と審査
書類審査が行われ、条件を満たしているか確認されます。
許可証の交付
審査が通過すると、許可証が交付されます。
まとめ
造園工事業は、都市生活の質を高めるため、自然環境を都市に取り入れる重要な役割を果たしています。
環境保護や持続可能なデザインが求められる現代において、非常に重要な分野となっています。
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