建設業における経営事項審査(経審)とは、建設業者の経営状況や技術的能力を評価するための審査制度です。
経審の目的は、主に公共工事を受注するための指標を得ることで、公共工事の発注者が適切な業者を選定できるようにすることにあります。
経審を受けることで、建設業者は総合的な評価点数(評点)を得て、公共工事の入札参加資格を確保します。
経審のポイントについて以下のようにまとめます。
経営事項審査の対象
経審は、公共工事を受注したい建設業者に対して義務付けられています。
公共工事を請け負うには、この審査を受けて一定の評点を取得しなければなりません。
なお、民間工事のみを請け負う業者は必須ではありませんが、経審を受けることも可能です。
審査項目
経営状況(Y 点)
財政面の健全性を示すもので、自己資本比率や収益性、支払能力などの経営状況分析を行います。
これにより、業者の財務健全性が評価されます。
経営規模(X点)
売上高や従業員数、保有する機械設備など、会社の規模に関するデータが審査されます。
売上高が大きく、設備や従業員数が多いほど高い評価を受けます。
技術力(Z点)
技術者の資格や技術的な実績に基づき評価されます。
専門的な資格を有する技術者が多い企業や実績が豊富な企業は高評価を得やすいです。
社会性(W点)
法令遵守や社会貢献、労働環境の改善など、社会的な責任を果たしているかを評価します。
労働安全衛生や地域貢献、法令遵守状況などが確認されます。
その他加点項目
ISO認証取得や災害時対応実績などの要素で、加点が得られる場合があります。
経審の流れ
(その際、上記「経営状況分析結果通知書」を、申請書に添付する。)
評点の有効期限
経審の結果は通常、審査基準日から1年7ヶ月間有効です。
定期的に経審を受けることで、最新の評点を維持することが可能になります。
経審の重要性
経審の評点は、公共工事の入札参加資格に直結するため、建設業者の経営や発注の機会に大きな影響を及ぼします。
評点が高いほど入札の際に有利となり、特に公共事業を主に行う企業にとっては非常に重要な制度です。
評点アップの工夫
評点を高くするためには、例えば技術者の資格取得支援や財務改善策、社会的責任に対する取り組みを強化するなど、各審査項目に応じた対策を行うことが有効です。
経審は、建設業者が自社の経営能力や技術力、社会的信頼を客観的に評価される場であり、競争力を高める上で重要な役割を果たしています。
コメント